デリケートゾーンに「できもの」が…これは病気?しこりやブツブツの原因と対処法【医師監修】

お股のあたりに違和感が…

座っているとき痛い…

デリケートゾーンがむずむずする…

これはいったい何?

デリケートゾーンにある謎の「できもの」に悩んだことはありませんか?それがニキビなのか、汗疹(あせも)なのか、はたまた何かの感染症なのか。原因がわからず不安になりますよね。

実際に気になって病院で検査してみたら「性感染症が見つかった」ケースや、「汗疹だった」などのケースもあり、さまざまな原因が考えられます。

ここでは、デリケートゾーンにあらわれる「できもの」の原因に、どんな疾患が考えられるのか、対処法や予防法について見ていきましょう。

性感染症ではない「できもの」の原因と対処法

・汗疹(あせも)

汗疹は、汗が皮膚の中に一時的に詰まって水ぶくれやかゆみなどの炎症が起こることです。「汗疹(かんしん)」とも呼ばれます。子どもや肌が敏感な人にあらわれやすい症状です。汗をかいたらこまめに拭き取る、シャワーを浴びるなどしてデリケートゾーンを清潔に保つようにしましょう。

症状が軽度であれば清潔にしておけば徐々に回復します。炎症が悪化した場合、病院で症状に応じて非ステロイド系、ステイロイドの塗り薬や、抗ヒスタミンの内服薬や塗り薬を処方してもらえます。

・外陰部毛のう炎(毛包炎)

毛穴の赤みやブツブツ、ニキビにもよく似た症状で、一般に「おでき」とも呼ばれています。毛穴の奥で、毛根を包んでいる毛嚢(もうのう)に起こる炎症です。VIO脱毛で毛を剃ったり、抜いたりした後に起こりやすく、小さな傷をきっかけに常在菌が繁殖して起こります。

症状が軽い場合は、自然に治ることが多いです。しかし悪化して「しこり」ができると強い痛みが出てくるケースもあります。しこりが大きかったり、膿がたまってしまった場合は、皮膚を切開して膿を出す処置が必要になることもあります。痛みが5日以上続くときや悪化したときは病院を受診しましょう。

毛嚢炎(毛包炎)は膿がたまったり複数の毛嚢が合わさって悪化することがあります。膿が大きくなると「せつ」、それが複数の範囲に広がると「よう」と定義します。

・バルトリン腺嚢胞(のうほう)

バルトリン腺は腟口の左右にある小さな腺で、ここから出てくる液体が詰まり腺が腫れると「バルトリン腺嚢胞」となり、違和感や痛みがでてきます。ほとんどの場合は左右の片側だけに生じ、豆粒くらいの小さな嚢胞から、ゴルフボールくらいの大きい嚢胞まで大きさはさまざまです。 細菌などが感染すると座っているだけで痛みがあります。病院で塗り薬や内服薬を処方してもらうか、場合によっては切開や手術が必要です。

・粉瘤(ふんりゅう)

皮膚のすぐ下に角質や皮脂などの老廃物が溜まってできる良性の腫瘍。そのままにしておくと、時間とともに大きくなり、外部からの刺激で皮膚が破れて膿が出てきます。

粉瘤に細菌が感染すると、赤く腫れて痛みがあります。粉瘤ができる原因は、まだ明らかになっていません。膿が出て一時的に治っても再発するケースが多く、手術で取り除く以外には完治しにくい症状です。

ごく稀に「悪性」であるケースもあるため、急にサイズが大きくなるときや痛みが出てくるときは早めの治療がおすすめです。

予防のためのセルフケアは?

生理用品やおりものシートをこまめに取り替えたり、汗をかいたら洗い流したり、デリケートゾーンをなるべく清潔に保つよう心がけましょう。

ただし、デリケードゾーンをゴシゴシ洗いすぎると皮膚が擦れて傷つけたり、膣の常在菌を減らしてしまったりと逆効果になることもあるので、専用ソープを泡立てて優しく撫でるように洗いましょう。

下着やタイツ、ガードルなどでムレてしまう場合は、長時間の着用を避けてください。肌に合わないと感じる下着は着用しないようにしましょう。

性感染症による「できもの」

・性器ヘルペス

外陰部や子宮頸部に違和感やかゆみ、痛みを伴う水ぶくれやぽつぽつが複数できます。

座る、歩く、排尿などで強い痛みが生じることがあるため、日常生活に支障をきたす場合があります。

主な原因は性行為により、性器や口内の皮膚や粘膜が触れ合うことでウイルスが体内に侵入して感染します。無症状の期間が3日~3週間と長く、気づかずに感染が広がりやすい病気です。

・尖圭コンジローマ

尖圭(せんけい)コンジローマは、大小陰唇や腟前庭、肛門付近、子宮口に小さな尖ったイボができる病気です。イボが集まって“鶏のトサカ”やカリフラワーのような形になり、かゆみや違和感がでてきます。

ヒトパピローマウイルス感染症(HPV)のひとつで、80種類以上あるヒトパピローマウイルスの中でもHPV6型、11型、16型に感染することで尖圭コンジローマになるケースが多いです。HPVの4価ワクチン(HPV6/11/16/18/型)や9価ワクチン(HPV6/11/16/18/31/33/45/52/58型)を接種することで、感染の可能性を低くできます。

子宮頸がんの原因となる高リスク型HPVとは異なります。治療には、切除、CO2 レーザー蒸散法、電気メスによる焼灼法や液体窒素による凍結法があります。

・梅毒

梅毒は梅毒トレポネーマという病原体により引き起こされる感染症で、近年感染者が急増しています。症状は小豆〜指先くらいの小さなしこりや発疹が見られることがありますが、初期にはほとんど症状があらわれないため発見が遅れやすいです。

気付かないうちに体内で進行し、数年後に脳や心臓、血管など複数の臓器で合併症を起こす可能性があります。抗菌薬(内服薬・注射など)で治療します。

性感染症による「できもの」を予防するには?

ほとんどの性感染症が、おりものや血液の検査で明らかになります。

一度感染してしまうと、完治することは難しく、症状を繰り返します。産婦人科を受診して、もし性感染症であることがわかったら、必ずパートナーと一緒に治療を受けましょう。

性感染症を予防するために、次のことを普段から心がけると良いです。

  • コンドームを最初から最後まで使用する
  • セックスの前後にシャワーを浴びる(清潔に)
  • セックス後に排尿する
  • 生理中や体調が悪いときにセックスをしない(感染しやすいため)   
  • 性行為をするパートナーを限定する(感染リスクを最小に)
  • パートナーが変わったら性感染症検査を受ける
  • 妊活前に性感染症の検査を受ける
  • おりものやデリケートゾーンに異常があるときは性感染症検査を受ける
  • 年に一度は検診を受ける(産婦人科にて)

 *

症状はさまざまですがデリケートゾーンの「できもの」には病気が隠れている場合があります。気をつけていても性感染症は誰にでも起こる可能性があるので、予防を心がけながらも、もし違和感を感じたら婦人科を受診しましょう。

性感染症でなかった場合でも、デリケートゾーンのできものやかゆみ・痛みは、自転車や車での移動、デスクワークなど、日常生活において不快感がずっと続くもの。

原因を調べて対処することが、少しでも過ごしやすくなる近道です。

<監修者プロフィール>
産婦人科医 柴田綾子(淀川キリスト教病院)
2011年群馬大学医学部卒業後、沖縄県立中部病院での初期研修を経て2013年より淀川キリスト教病院に勤務し、2020年より現職。主な著者に『女性の救急外来 ただいま診断中!』(中外医学社,2017)。産婦人科ポケットガイド(金芳堂、2020)。女性診療エッセンス100(日本医事新報社、2021)。明日からできる! ウィメンズヘルスケア マスト&ミニマム(診断と治療社、2022)。

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    1. コメントありがとうございます!
      私の場合のできものも、婦人科で見てもらった際に「そのうちおさまるから心配しなくていいよ」と言われて本当!?と思ったのですが、自然になくなりました。

      自己判断は難しいので、やはり婦人科を受診することがベストかと思います。痛みがあるものは特に心配になりますよね。

  1. ストレスの溜まる仕事をしていた時、半年で3回もできて痛くて辛かったです。一度目は何も分からず婦人科に行き、毛嚢炎と言われました。場所的に恥ずかしいし、その後は自分で薬を探して治しましたが、仕事から離れたらできなくなりました。でも知識があるだけでかなり生活しやすいなぁと感じます。

    1. コメントありがとうございます!半年で3回できて、そして痛みを伴うできものはつらいですね(涙)ストレスも原因だったのでしょうか?今はその症状がないとのことで良かったです。

      私もできものを発見したとき婦人科にかかりましたが、最初デリケートゾーンのできものについての知識が何もなかったときは不安で仕方がなかったです。婦人科に行くことがベストだと思いますが、たしかに、知識があると少し安心ができますよね。

    1. コメントありがとうございます!おっしゃる通りですね。私も以前、デリケートゾーンのできもので婦人科を受診し、結果はあせもだったのですが、理由がわかって安堵した経験があります。

      自己判断は難しいなと感じたので、婦人科に行くのが安心ですね。

    1. たくさんコメントありがとうございます!分かりやすかったようで良かったです。以前は洗いすぎなのかを自分で判断するのが難しいなと思っていましたが、ゴシゴシ洗うことは避けようと私も思いました^^;