「尿もれ」の原因と対策。すぐに始められるセルフケアは?(医師監修)

くしゃみをしたときや、重い荷物を持ったとき、大笑いしたとき。思わず漏れてしまってヒヤっとしたことはありませんか?

シニア世代のイメージがある「尿もれ」ですが、実は20代以上の2人に1人は尿もれを経験したことがあるというデータもあります。

人に相談したり、医師に診てもらうことが恥ずかしいと感じる人もいるかもしれませんが、誰にでも起こる生理現象です。少しでも快適に過ごせるように、対策しましょう。

この記事では、尿もれはなぜ起こるのか、尿もれの原因と対策について解説します。

尿もれ(尿失禁)には2つのタイプがある

尿もれを医学用語で「尿失禁」といいます。尿失禁には大きく2つのタイプがあります。

お腹に力が入って膀胱が圧迫されることで漏れる「腹圧性尿失禁」と、急に尿意を感じてトイレまで我慢できずに漏れてしまう「切迫性尿失禁」です。この両方が合わさっていることを「混合性尿失禁」といいます。

腹圧性尿失禁

腹圧性尿失禁が起こりやすい場面

・咳やくしゃみをしたとき
・重いものを持ったとき
・運動中
・笑ったとき
・出産後

腹圧性尿失禁の原因

尿道を支える骨盤底筋や、外尿道括約筋などが緩むことで尿道がグラつき、尿もれが起こりやすくなります。運動不足や肥満、加齢などで筋肉は衰えます。また出産は骨盤底筋に大きな負担がかかり筋肉が損傷し、緩くなります。更年期に、エストロゲン(卵胞ホルモン)が減少することも骨盤底筋が衰える原因になります。

腹圧性尿失禁のセルフケア

・骨盤底筋トレーニング
・早めにトイレに行く
・利尿作用のあるカフェインやアルコールを含む飲料はなるべく避ける
・暴飲暴食を避ける
・適度な運動を心掛ける

腹圧性尿失禁の治療

更年期でエストロゲン(卵胞ホルモン)減少が原因の場合は、更年期障害の治療で用いられるホルモン補充療法(HRT)を行います。

骨盤底筋トレーニングを続けることで改善するケースが多いですが、それでも改善しない場合は、尿道の下にポリプロピレンメッシュのテープを通して尿道を支える「TVT手術」、または「TOT手術」を行います。

骨盤底筋トレーニングの方法

骨盤底筋群の筋力をつけ、尿道を支え、尿道が閉じる力を強くすることで腹圧性尿失禁は改善します。

仰向けの姿勢で行うトレーニング

  1. 仰向けに寝て、足を少し開き、膝を立てる
  2. 膝の間はこぶしをひとつ分くらい開けて、体の力を抜く
  3. 息を吐きながら、肛門と膣を10秒くらいギューっと締める
  4. 30秒リラックスする
  5. これを10回繰り返す
  6. 次に、同じように肛門、膣を閉める動作を早いテンポで行い、この「キュッ(締める)、パッ(緩める)」を1セットとして、10回繰り返す

これを1セットとして、1日数回に分けて5セット以上行いましょう。

座った姿勢で行うトレーニング

  1. イスに少し浅めに座り、背筋を伸ばす
  2. 両足は肩幅に開き、肩の力を抜く
  3. 息を吐きながら、肛門と膣を10秒くらいギューっと締める
  4. 30秒リラックスする

これを1セットとして、1日数回に分けて5セット以上行いましょう。

座った姿勢であればテレビを見ながらや、電車やバスの移動中でもできるので、うまく生活の中に取り入れてみてください。

骨盤トレーニンググッズを活用する

骨盤底筋トレーニングをサポートするアイテムを活用するのもおすすめです。

ケーゲルボール(膣トレボール)は膣内に挿入して生活するだけのアイテム。重さが異なるものがあり、軽いものから始めて、徐々に重いものに変えていくことで骨盤底筋が鍛えられます。

また膣圧を感知するセンサーがついていて、専用アプリで骨盤底筋のトレーニング度合いを可視化できる骨盤トレーニングデバイスもあります。

(※これらのアイテムを使用するときは、手やボールが清潔な状態で行ってください)

左からケーゲルボール(膣トレボール)、骨盤底筋トレーニングデバイス

切迫性尿失禁

切迫性尿失禁が起こりやすい場面

・寒いとき
・水分を多く摂取したとき
・流水音を聞いたとき
・アルコールやカフェインを摂取したとき
・塩分やカプサイシンなど辛い食べ物を食べたとき

切迫性尿失禁の原因

切迫性尿失禁は膀胱が過敏になり、膀胱の筋肉が硬くなることが原因で起こります。

切迫性尿失禁のセルフケア

・アルコールやカフェインを摂取しない
・高塩分やカプサイシンを含む辛い食べ物はなるべく避ける
・尿意があってもできるだけ我慢して膀胱に尿を溜める膀胱訓練をする

切迫性尿失禁の治療

・医師の指導による薬物療法
・薬物療法で改善されない場合、電気刺激療法や磁気刺激療法

水分ケアシートを活用すると安心

尿もれは骨盤底筋トレーニングや生活習慣の改善、医師による治療により改善しますが、改善するまでは水分ケアシートを活用すると安心です。

失禁量に合わせて、さまざまなタイプが取り揃っています。ドラッグストアやスーパー、ECサイトなどで、ご自身にあったタイプを見つけてみてください。

軽い尿失禁までをカバーするおりものシートや、尿もれ用の吸収シートまでさまざまな商品が販売されています。

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    1. コメントありがとうございます!そうですよね、気になっていても、なかなか相談しづらいですよね>< これからもみなさんのちょっとした疑問や気になることを取り上げていきたいと思っているので、また聞きたいことなどあったら教えてくださいね!

    1. コメントありがとうございます。寒暖差が尿漏れに影響があると感じることがあるのですね!寒いので厚着したいところですが、悩ましいですね...^^;私は突然のくしゃみや咳が一番影響あると感じています(笑)