ベタベタする。ニオイが気になる。下着を洗うのが大変。
おりものって地味に面倒な存在ですよね。でも私たちの体にとって、おりものは重要だって知っていますか?
「おりもの」について知ることが、自分の体の状態を理解して、守ることにも繋がります。
この記事では、謎が多い「おりもの」の役割について解説。また、なかなか人と比べる機会がないおりものの状態(量・色・ニオイ)が正常なのかどうかについて、その疑問にお答えします。
おりものシート「サラサーティ」ブランドを提供する小林製薬による、研究データもご紹介します。
おりものの役割
おりものは、膣や子宮、粘膜から出てくる分泌物のことです。
おりものって何か意味あるの?と不思議に思っている人もいるかもしれません。
実はおりものは、膣内のうるおいを保つことで粘膜を守ったり、バイ菌が子宮内に入ってくるのを防ぐ役割があります。おりものがあることで膣内をきれいに保ってくれているんです。
また排卵期には、おりものが精子を子宮に届けて、スムーズに受精するための手助けにもなります。そして、おりものは女性ホルモンによる体の周期や、体調の変化などを知らせてくれるサインにもなります。
このように、女性の体の仕組みにとって重要な役割を担っているんです。
おりものの量と、女性ホルモンの関係
おりものにも生理と同じように周期があり、分泌量や状態が変化します。
卵巣から分泌される女性ホルモンは、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)の2種類があります。卵胞ホルモンの分泌量に関連して、おりものの量も変化します。
卵胞ホルモン(エストロゲン)が多く分泌される卵胞期におりものの量が増え始め、排卵期には透明で少しとろみのある状態のおりものが多く分泌されます。この時期のおりものは、受精の手助けも担います。
おりものの周期を知っておけば「そろそろ生理かも」、「排卵日が近いかも」と体の状態を知る目安になります。
卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌は年齢によっても変化します。20代後半〜30代がピークで40代後半から減少します。それに比例しておりものの量も変化します。
個人差も大きい
おりものシート開発のため、おりものを研究している小林製薬は、11名の排卵期の女性のおりものの量を計測しました。その結果、同じ排卵期でも1番多かった人と1番少なかった人を比較すると17倍もの差があることがわかりました。
このように、おりものの量は、周期によって変化するだけでなく、年齢や個人による差も大きいのです。普段の自分のおりものの量を知っておくと、その変化に気づきやすいです。
おりものの形状
生理前後のおりものはサラッとしていて、卵胞期・排卵期はとろみがでてくる傾向があります。生理が近くなるとゼリー状や、ドロっと粘度の高い状態になることが多いです。
おりものが酒粕やカッテージチーズのようなポロポロした塊や、泡沫状になっている場合は、注意が必要です。
おりものの色
おりものは、透明、白、白褐色、薄黄色が正常で、生理前後には一時的に薄ピンク色/薄茶色になることもあります。
灰白色、黄色、緑色、赤色、薄ピンク色/薄茶色(生理前後でないとき)の場合は、注意が必要です。
おりもののニオイ
おりものは「無臭」または「少し酸っぱいニオイ」が正常とされています。おりものシートをつけっぱなしにすると雑菌が繁殖して強いニオイになることがあります。おりものシートをこまめに取り替えるようにしましょう。
また「魚の腐ったようなニオイ」や「ツンとする悪臭」がある場合は、病気や感染症などが関係していることがあります。主に、カンジダ膣炎、クラミジア感染症、淋菌感染症、トリコモナス膣炎、細菌性膣症などです。
また、おりもののニオイも個人差があります。
小林製薬が「おりもののニオイが気になる」という女性8名のおりもののニオイの種類を分析したところ、一人ひとり異なるニオイの構成が確認されました。
このように、おりもののニオイにもかなり個人差が見られます。
普段と異なるニオイを感じたときは、感染症などの病気や体調に異変があると考えられます。
毎日のおりものをチェックしておくと、違いに気づきやすくなりますので、普段のおりものの状態を知っておくといいでしょう。
おりものをケアするには
おりものシートで清潔に
おりものがショーツについたままだと、雑菌が繁殖しやすくなり、ムレによりかゆみや肌トラブルが起こることがあります。おりものシートを使うと、快適に過ごせます。おりものシートはトイレに行くたびに取り替えるのが理想ですが、少なくとも1日に2〜3回取り替えると清潔に保てます。
膣内を洗ってもいいの?
膣内には、乳酸菌を含む善玉菌が存在し、膣内を酸性に保ち、雑菌などの侵入を防いでいます。しかし、シャワーのお湯やウォシュレットなどで膣内を洗うと、善玉菌まで減ってしまう場合があります。
ニオイが気になって洗う場合は、ぬるめのお湯で優しく洗うようにして強くこするのは控えましょう。
弱酸性の膣洗浄アイテムを使うときは、防腐剤が含まれている商品だと膣内の善玉菌まで殺菌してしまうことがあります。防腐剤を含まず、弱酸性のものを選ぶのが良いです。ただし、洗いすぎはよくないので使用頻度には注意してください(商品の「使用上の注意」を確認しましょう)。
異変に気づいたら、婦人科を受診しましょう
おりものはなかなか人と比較できないので、正常かどうかわからずに不安になることもありますよね。
おりものの状態は、自分の体の状態を知らせてくれるサインになります。もしおりものの量やニオイ、色に異変を感じたら、早めに婦人科を受診しましょう。
おりものの疑問やお悩みなどがあれば、ぜひコメント欄にお寄せください。
<監修者プロフィール>
産婦人科医 柴田綾子(淀川キリスト教病院)
2011年群馬大学医学部卒業後、沖縄県立中部病院での初期研修を経て2013年より淀川キリスト教病院に勤務し、2020年より現職。主な著者に『女性の救急外来 ただいま診断中!』(中外医学社,2017)/産婦人科ポケットガイド(金芳堂、2020)。女性診療エッセンス100(日本医事新報社、2021)/明日からできる! ウィメンズヘルスケア マスト&ミニマム(診断と治療社、2022)/ウィメンズヘルスケアのための薬の使い方(株式会社じほう、2024)