デリケートゾーンのニオイが気になる。その原因と対策を解説します(医師監修)

「あのニオイがする…」

「自分では感じないけど…まさか、におってる?」

おりものやデリケートゾーンのニオイ、気になりますよね。

日本は高温多湿な環境にあるので、汗などでムレやすく、ニオイが気になる人が多いようです。

小林製薬の調査では、「おりものの量やニオイ、気になりますか?」という質問に対して、「そう思う」「どちらかといえばそう思う」と回答した方は全体の約3割。18-20代では半数近くにのぼりました。

おりもの自体には、膣内部をうるおして粘膜を守ったり、バイ菌が侵入するのを防いだりする役目があり、私たちのカラダになくてはならないものです。

ただ、さまざまな要因でニオイが発生してしまいます。ちなみにおりもの特有の“酸っぱい”ニオイは正常なので気にする必要はありません。魚が腐ったような生臭いニオイがしたら要注意です。

このコラムでは、デリケートゾーンのニオイの主な原因と、その対策についてお伝えします。

汗や尿、経血などの汚れ

デリケートゾーンはおりものや汗、尿、経血などさまざまな分泌物が発生するので、どうしても汚れやすい部分です。そのため、雑菌が繁殖してニオイの原因になることがあります。ニオイの原因の多くは外陰部をきちんと洗えていないことがほとんどです。

対策①キレイに洗う

毎日のお風呂で、デリケートゾーンをキレイに洗いましょう。ただし、洗いすぎてしまうと自浄作用に必要な菌を洗い流してしまうことも。粘膜に近く、肌が敏感な場所なのでゴシゴシ洗いやシャワーの水圧で膣内を洗うのは厳禁です。デリケートゾーン専用ソープなど、刺激の少ない石鹸で、外陰部を優しく洗いましょう。

対策②下着やおりものシートをこまめに取り替える

「おりものシートをいつも使用している」という方も多いと思いますが、とくにおりものの量が多いときは、おりものシートを活用しましょう。また、おりものシートや下着をこまめに取り替えることもニオイ対策になります。生理中のニオイが気になる方は、同様に生理ナプキンもこまめに取り替えましょう。

対策③ムレやすい下着やズボンを避ける

化学繊維のショーツはムレやすいので、通気性の良いコットンやシルクなど天然素材の下着がおすすめです。ピタッと締め付けるようなショーツや、タイトなズボンも通気性が悪くムレやすいので、ニオイが気になる場合は避けてください。

膣内環境の乱れ

膣内にはさまざまな菌が存在します。その中には、体に良いはたらきをする善玉菌と、体に良くないはたらきをする悪玉菌があります。通常はこのバランスが保たれていることで、自浄作用がはたらき膣内環境を正常に保っています。

善玉菌の1つであるデーデルライン桿菌(かんきん)は、膣内のグリコーゲンを栄養にして乳酸を生産する働きをしています。デーデルライン桿菌がつくる乳酸のおかげで、膣内を弱酸性に保ち、悪玉菌の侵入を防ぎます。

体調の変化やストレスにより悪玉菌が増えると、膣内環境が乱れ、おりもの異常や生臭いニオイが発生する原因になります。

対策①乳酸菌を食事で摂る

毎日の食事では、プロバイオティクスと呼ばれるヨーグルト・納豆・みそなどの乳酸菌を含む食べ物を意識しましょう。

対策②膣内の洗浄

膣の外側(外陰部)には皮膚がありますが、膣内は粘膜なので、とてもデリケート。膣内には、乳酸菌を含む善玉菌が存在し、膣内を酸性に保ち、雑菌などの侵入を防いでいます。しかし、シャワーのお湯やウォシュレットなどで膣内を洗いすぎると、善玉菌まで減ってしまいます。

ニオイが気になって洗う場合は、弱酸性の膣洗浄アイテムを使用しましょう。防腐剤が含まれていると膣内の善玉菌まで殺菌してしまうことがあるので、防腐剤を含まないものを選びましょう。ただし、これも洗いすぎはよくないので使用頻度には注意してください(商品の「使用上の注意」を確認しましょう)。

対策③性感染症の検査を受ける

おりもの異常や生臭いニオイが出てきたときは、クラミジアや淋菌(りんきん)などの性感染症や、細菌性腟症などの可能性があります。心配なときは、性感染症の検査を受けるようにしましょう。

女性ホルモンの低下による膣の乾燥

肌の弾力や水分を保つために重要なはたらきをする女性ホルモン・エストロゲン。年齢とともにエストロゲンが減少すると、膣内が乾燥してニオイの原因になります。

デリケートゾーンの皮膚や膣内が乾燥してしまうと、ニオイだけではなく、体がもつバリア機能が低下して、感染症や肌かぶれ、湿疹、性交痛などさまざまなトラブルに発展するケースもあります。

対策①デリケートゾーンも保湿が大事

保湿成分が含まれるボディクリームやデリケートゾーン専用の保湿剤で、皮膚の乾燥を緩和します。とくに生理の前後や、デリケートゾーンの脱毛・剃毛の処理をしたあとは十分に保湿をおこなってください。

対策②ホルモン療法

「膣の乾燥」を含む更年期の症状を最小限にとどめるための治療として、女性ホルモンを補充するホルモン補充療法(HRT)があります。腟の症状が中心の方には腟剤、ホットフラッシュなど全身の症状がある場合は飲み薬、貼り薬、ジェルなどの選択肢があります。

ただし、ホルモン補充療法(HRT)は、乳がんなどの疾患がある方は受けられなかったり、状況に応じて使用する薬や使用期間が異なります。まずは婦人科で医師に相談しましょう。

対策③レーザー治療

腟の乾燥や症状が強い方には、デリケートゾーンの皮膚や粘膜の再生をうながす炭酸ガスフラクショナルレーザーなどの治療もあります。古い組織をレーザーで焼くことで、新しい細胞に変わるのを助ける治療法です。症状が強い方は、婦人科にご相談ください。

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このように、デリケートゾーンのニオイは、その原因によって対処法があります。

デリケートなお悩みで、なかなか人に相談しづらいものですが、生活習慣を見直したり、自分なりに試したり、医師に相談することで解決を目指せますので、諦めずにトライしましょう。

少しでも心地よい毎日が過ごせますように。

<監修者プロフィール>

産婦人科医 柴田綾子(淀川キリスト教病院)

2011年群馬大学医学部卒業後、沖縄県立中部病院での初期研修を経て2013年より淀川キリスト教病院に勤務し、2020年より現職。主な著者に『女性の救急外来 ただいま診断中!』(中外医学社,2017)。産婦人科ポケットガイド(金芳堂、2020)。女性診療エッセンス100(日本医事新報社、2021)。明日からできる! ウィメンズヘルスケア マスト&ミニマム(診断と治療社、2022)。

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サラサーティCleanは膣内と同じ弱酸性の洗浄ジェルが入った膣洗浄器です。ボトルのノズルを膣に挿入してボトルを押してジェルを注入します。ボトルのノズルは一般的なタンポンよりも細く、先端が丸くなっているので、正しく挿入すれば痛みはありません。

ジェルが膣内に行き渡り、ニオイの原因となる老廃物を洗い流してくれます。時間が経つにつれて、ゆっくりと排出されるので、おりものシートやナプキンをつけておきましょう。防腐剤は含まれず、無香料、国内生産のアイテムです。
詳しい使用方法はこちらをチェックしてみてください。

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    1. しかたさん、コメントありがとうございます!ご覧いただき嬉しいです。これからもワタファクでは、お悩みに関する記事を配信していきますので、お聞きになりたいことなどあれば、またコメントで教えてください^^

  1. 総合的にまとまった記事が読めて良かったです。47歳で、そろそろ閉経かしら?な時期を迎えています。
    生理も前回は120日振り。その前は110日振りと、忘れた頃にやってきて、そわそわ。今後は乾燥とかあるのかなぁ…と想像しています。

    1. コメントありがとうございます!そして嬉しい感想もありがとうございます。
      カラダの変化を感じるときなのかもしれないですね。

      デリケートゾーンのお悩みや聞きたいことがありましたらお気軽にコメントください!今後の記事作成の参考にさせていただきます。

    1. コメントありがとうございます!専用ソープを使ってらっしゃるんですね。使用をはじめて何か変化はありましたか?

      私は以前ふつうにボディソープを使用していましたが、しみるなと思い(笑)専用しかもう使えないです^^;