デリケートゾーンの「黒ずみ」が気になる…?原因とセルフケア(医師監修)

 かゆみやムレ、ニオイなど、デリケートゾーンは不快感を感じやすい部分です。

小林製薬の調査によると、女性が感じているデリケートゾーンの悩みは「かゆみ」「ムレ」「かぶれ」「ニオイ」に次いで5番目に多い悩みとして「黒ずみ」があります。


【調査概要】デリケートゾーンの悩みに関する調査/調査時期:2024年8月/調査対象:20代~40代の女性 8,907名/調査手法:社外インターネット調査 ※複数回答

自分でデリケートゾーンを見たときに、内ももの肌の白さと比較すると「黒ずんでいる」と感じる人が多いと思います。人と比較しづらいため「これって普通なの?」とコンプレックスに感じている人もいるのかもしれません。

ですが黒ずみは、医学的に見ても自然なことで、健康上の問題があるわけではありません。

本来気にする必要はありませんが、「婦人科検診や脱毛サロンで処理をする際に気になる」、「性行為のときに気になる」、「黒ずみにより、VIO脱毛でのレーザー照射が痛い」という声も多く聞かれます。

そこで今回は、黒ずみの原因とケア方法について、皮膚科医の越智先生に解説してもらいました。

デリケートゾーンの「黒ずみ」の原因

デリケートゾーンはメラニン色素が沈着することで黒ずみが残ります。メラニン色素が沈着する原因として、次の5つがあげられます。

  1. 女性ホルモンの影響

女性ホルモン(エストロゲン)の変動によって メラニンをつくるメラノサイトが刺激されやすくなります。

思春期、妊娠、産後、更年期など、女性ホルモンに変化がある時期は、とくにメラニンが増加しやすくなり皮膚の色素沈着が起きやすくなります。

女性ホルモンの影響においてはデリケートゾーンに限らず、乳輪、ワキ、口周りなどが黒ずむ傾向にあります。

 2. 加齢

一般的に年齢を重ねるにつれ、黒ずみやシミが残りやすくなります。

肌は皮膚の最下層で新しい細胞が作られますが、それが少しずつ表面に押し上げられ、角質(垢)として自然に剥がれ落ちる「ターンオーバー」を繰り返しています。

加齢により、ターンオーバーが乱れ、メラニンが肌に残りやすくなります。

 3. 肌への摩擦やこすれ

下着の摩擦や締め付け、こすれなどが肌の炎症を招き、黒ずみの原因になります。

アンダーヘアの自己処理のために、繰り返し毛抜きやカミソリをあてることによる摩擦や刺激も同様です。

 4. 乾燥

肌の乾燥は、かゆみやこすれによるダメージを受けやすく、メラニン色素が沈着して黒ずみの原因となります。加齢による肌の乾燥や、冬場の空気の乾燥も少なからず影響があります。

また、更年期や出産・授乳期には女性ホルモン(エストロゲン)の分泌量が減り、皮膚や粘膜の水分保持力が低下して乾燥しやすくなります。

 5. かぶれ

通気性のよくない下着を着けたり、生理中にムレたりすると、肌かぶれや炎症が起きやすくなり、メラニン色素の沈着につながる場合があります。

デリケートゾーンの皮膚は薄いため、このような肌への刺激に影響を受けやすいです。

デリケートゾーンのケア方法

黒ずみを完全になくすのは難しいですが、摩擦や乾燥など外的要因による黒ずみの予防や改善につながるケア方法を解説します。

  1. 通気性がよく、肌触りのよい下着を選ぶ

デリケートゾーンへの摩擦を減らすために、肌あたりの優しい綿や絹などの素材でできた下着を選ぶとよいです。

綿や絹などの天然素材は、通気性もよく、ムレやかぶれも軽減します。

できるだけ締め付けない下着や、サイズの合うボトムスを着用しましょう。

 2. 保湿

デリケートゾーンの保湿は 、乾燥を防ぎ、摩擦や刺激から守る“黒ずみ予防” の基本ケアです。

市販されているデリケートゾーン専用の保湿クリームやジェルで保湿しましょう。毎日、顔のスキンケアをするように、入浴後に軽く保湿するだけでも、乾燥・炎症を防ぎ、ターンオーバーを助けます。

保湿剤は無香料・無着色・アルコールフリーのものが安心です。もし、かゆみや赤みが出たらすぐに使用を中止し、皮膚科に相談しましょう。

 3. アンダーヘアの剃毛は適切に

アンダーヘアを自己処理している場合は、カミソリよりも専用の電気シェーバーを使った方が、肌への摩擦や刺激が少ないと言われています。

アンダーヘアは必ずしも脱毛する必要はありません。ただ剃毛(自己処理)を日常的に行っている場合、その頻度を減らすために、サロンやクリニックでVIO脱毛をするのもひとつの選択肢です。

 4. 清潔に保つ

肌を清潔に保つことも、意識しましょう。デリケートゾーンを洗う際は、ゴシゴシ洗いを避け、低刺激性のソープ(泡)を使って優しく洗い、ぬるま湯で流すようにしましょう。(編集部:デリケートゾーンの洗い方についてはこちら

生理用ナプキンや、おりものシートを使用するときは、こまめに取り替えることも心がけましょう。

     5. ターンオーバーを整える生活

前述したとおり、ターンオーバーが乱れることによって、作られたメラニンがなかなか排出されず、肌の奥に長く留まりやすくなります。

十分な睡眠、栄養バランスのよい食事、ストレスケアなどの生活習慣がターンオーバーの促進につながります。規則正しい生活を送ることを意識しましょう。

黒ずみは自然なこと。気にしすぎないで

デリケートゾーンの黒ずみは、多くの女性に見られる自然な現象で、医学的にも、健康上の問題があるわけではありません。

摩擦や刺激から皮膚を守るための防御反応としてメラニンが作られるので、「黒ずみがある=異常」ではなく、体が肌を守っている証拠ともいえます。

デリケートゾーンの黒ずみは、気にしすぎないようにしましょう。お顔のスキンケアで自身をいたわるように、デリケートゾーンもできる範囲でセルフケアすることをおすすめします。

急に色が濃くなったり、痛みや違和感を感じたりする場合は、医師にご相談ください。

<監修者プロフィール>

皮膚科専門医 越智 啓乃(おち ひろの)
sowaka women’s health clinic勤務
医学博士(2017年 順天堂大学院医学研究科 修了)
日本皮膚科学会認定
日本美容皮膚科学会
日本アレルギー学会
日本フードドクター食医学協会 認定フードドクター

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